原題: Operation Endgame disrupts Rhadamanthys information-stealing malware
Europol主導の「エンドゲーム作戦」によりラダマンシス情報窃取マルウェアが壊滅
国際的なサイバー犯罪対策の取り組み「オペレーション・エンドゲーム3.0」により、情報窃取型マルウェア「ラダマンシス」をはじめとする複数の悪質なマルウェアプラットフォームが壊滅されました。ユーロポールを中心に30以上の国と民間企業が協力し、サイバー犯罪インフラの大規模な摘発に成功しています。
主要なポイント
- 大規模なインフラ停止とドメイン押収:1000台以上のサーバーが停止され、20の悪質ドメインが押収されました。これにより、数十万台の感染コンピュータが管理されていた犯罪ネットワークが崩壊しました。
- 標的となったマルウェア:情報窃取マルウェア「ラダマンシス」、リモートアクセス型トロイの木馬「ヴェノムRAT」、ボットネット「エリジウム」の3つの主要なマルウェアプラットフォームが対象となりました。
- 被害規模の深刻さ:盗まれた認証情報は数百万件に上り、特にラダマンシスは10万以上の暗号通貨ウォレットにアクセスしていた可能性があり、被害額は数百万ユーロに達すると推定されています。
- 国際的な協力体制:オーストラリア、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、リトアニア、オランダ、アメリカ合衆国など30以上の国とサイバーセキュリティ企業ビットディフェンダーが連携し、11件の家宅捜索や逮捕も実施されました。
- 啓発活動と情報公開:ユーロポールは公式サイトで「シーズン」と称した動画を公開し、脅威アクターへの警告と市民への情報提供を行っています。また、指名手配中のサイバー犯罪者の情報も公開し、情報提供を呼びかけています。
技術的な詳細や背景情報
情報窃取マルウェア「ラダマンシス」は、ユーザーのパスワードや認証情報を不正に収集し、特に暗号通貨ウォレットへのアクセスを狙う高度なマルウェアです。リモートアクセス型トロイの木馬(RAT)である「ヴェノムRAT」は、攻撃者が感染端末を遠隔操作できるようにし、ボットネット「エリジウム」は感染端末を大量に束ねてサイバー攻撃の基盤として利用されます。
これらのマルウェアは、被害者が気付かないうちに情報を盗み出し、さらなる攻撃や不正取引に利用されるため、非常に危険です。今回の摘発は、これらのマルウェアのコマンド&コントロール(C&C)サーバーや関連インフラを破壊することで、犯罪者の活動を大きく妨害しました。
影響や重要性
今回の摘発により、盗まれた認証情報がランサムウェア運営者などのサイバー犯罪者に渡る機会が減少し、多くの被害者が自身のシステム感染を知るきっかけとなりました。これにより、被害拡大の抑制とセキュリティ強化が期待されます。
また、国際的な連携による大規模な摘発は、サイバー犯罪組織の活動を一時的にでも阻止する効果があり、サイバー空間の安全性向上に寄与します。しかし、犯罪者は新たな手法やマルウェアを開発し続けるため、継続的な警戒と対策が不可欠です。
まとめ
ユーロポール主導の「オペレーション・エンドゲーム3.0」は、ラダマンシスをはじめとする悪質なマルウェアのインフラを壊滅させる大きな成果を挙げました。国際的な協力と技術的な摘発により、多くの被害者が救われるとともに、サイバー犯罪の根幹を揺るがす一手となりました。
しかし、サイバー犯罪は根絶が難しく、新たな脅威が常に出現するため、ユーザー自身も警戒を怠らず、定期的なセキュリティチェックや強固なパスワード管理、多要素認証の導入などの対策を講じることが重要です。自身のメールアドレスが漏洩していないかは、オランダ国家警察のサイトや「HaveIBeenPwned」などで確認することをおすすめします。





