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ロシア系ランサムウェア集団、オープンソースAdaptixC2を悪用した高度攻撃

出典: The Hacker News – https://thehackernews.com/2025/10/russian-ransomware-gangs-weaponize-open.html

原題: Russian Ransomware Gangs Weaponize Open-Source AdaptixC2 for Advanced Attacks

ロシア系ランサムウェアグループがAdaptixC2を悪用した高度な攻撃を実施

近年、オープンソースのコマンド&コントロール(C2)フレームワークであるAdaptixC2が、ロシア系ランサムウェアグループを含む複数のサイバー攻撃者によって悪用されていることが明らかになりました。本記事では、AdaptixC2の特徴とその悪用事例、そしてサイバーセキュリティに与える影響について詳しく解説します。

主要なポイント

  • AdaptixC2の概要と機能:AdaptixC2はペネトレーションテスト向けに設計されたオープンソースのC2フレームワークで、暗号化通信やリモートターミナル操作など多彩な機能を備えています。
  • 悪用事例の増加:ロシアのランサムウェアグループ「Fog」や「Akira」、さらに初期アクセスブローカーによるCountLoader経由のツール配布など、複数の攻撃者がAdaptixC2を利用しています。
  • 開発者とコミュニティの動向:GitHubユーザー「RalfHacker」が2024年8月に公開し、Telegramチャンネルでは28,000人以上の登録者が存在。開発者はレッドチーム活動を目的としつつも、悪用の懸念が高まっています。
  • 技術的評価と分析:Palo Alto NetworksのUnit 42はAdaptixC2を「モジュラーで多用途なフレームワーク」と評価し、Microsoft Teamsを狙った詐欺やAI生成PowerShellスクリプトの一部としても利用されている点を指摘しています。
  • 倫理的ツールと犯罪利用の境界:AdaptixC2は本来は倫理的なレッドチームツールですが、サイバー犯罪者による悪用が進んでいるため、利用動向には注意が必要です。

技術的な詳細や背景情報

AdaptixC2は、ペネトレーションテストや敵対的エミュレーション(Red Team演習)向けに設計されたC2フレームワークです。サーバーコンポーネントはGo言語(Golang)で開発されており、高速かつ軽量な動作が特徴です。一方、GUIクライアントはC++とQTフレームワークを用いてクロスプラットフォーム対応を実現しています。

主な機能には以下が含まれます:

  • 完全に暗号化された通信チャネルによる安全なコマンド送受信
  • リモートでのコマンド実行や認証情報管理
  • スクリーンショット取得やリモートターミナル操作

これらの機能は、正当なセキュリティ評価だけでなく、悪意ある攻撃者による被害拡大にも利用可能です。特に、Microsoft Teamsを悪用した偽ヘルプデスク詐欺や、AI生成のPowerShellスクリプトと組み合わせることで、検知回避や攻撃の自動化が進んでいます。

影響や重要性

AdaptixC2のような高度で拡張性の高いオープンソースC2フレームワークがサイバー犯罪者に利用されることは、サイバー攻撃の高度化と多様化を示しています。特にロシア系ランサムウェアグループの利用は、国家的な支援や組織的な犯罪活動の一端を示唆し、被害の拡大が懸念されます。

また、開発者がTelegramなどのプラットフォームを通じてツールのマーケティングや情報共有を行っている点は、攻撃者コミュニティの活発な連携を示し、対策の難しさを増しています。セキュリティ企業や組織は、AdaptixC2をはじめとするオープンソースツールの動向を注視し、早期検知と対応策の強化が求められます。

まとめ

AdaptixC2は本来、レッドチーム活動やペネトレーションテストのための有用なオープンソースツールですが、その高度な機能と拡張性が悪用され、ロシア系ランサムウェアグループをはじめとするサイバー犯罪者による攻撃に利用されています。今後もこのようなツールの悪用事例は増加する可能性が高く、セキュリティ関係者は技術的な理解と監視体制の強化を図る必要があります。

最新情報については、引き続きThe Hacker Newsなどの信頼できる情報源を参照し、適切な対策を講じてください。

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