出典: Cybersecurity JP – https://cybersecurity-jp.com/news/111496
広島工業大学のネットワークシステムが不正アクセスを受け情報漏えいの懸念
2025年11月、広島工業大学は自学のネットワークシステムがサイバー攻撃を受け、学生や教職員の個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。本記事では、今回のインシデントの概要と技術的背景、影響、そして今後の対策について解説します。
主要なポイント
- 不正アクセスの発生:2025年6月13日時点のネットワークシステムに対し、不正アクセスが確認されました。
- 漏えいの可能性がある情報:ユーザーID、氏名、メールアドレス、暗号化されたパスワードが含まれています。
- データ持ち出しの形跡なし:調査の結果、個人情報を含むデータが外部に持ち出された証拠は見つかっていません。
- ランサムウェア被害なし:システムの暗号化や身代金要求などのランサムウェア被害は発生していません。
- 被害者への通知と再発防止策:対象者には個別にメールで通知し、今後はセキュリティ強化と関係機関との連携を進める方針です。
技術的な詳細や背景情報
今回の不正アクセスは、外部からの侵入によりネットワークシステムの一部にアクセスされたものと推測されます。漏えいの可能性がある情報には、ユーザーIDや氏名、メールアドレスといった基本的な個人情報に加え、暗号化されたパスワードが含まれています。暗号化パスワードとは、パスワードをそのまま保存せず、ハッシュ関数などの暗号技術を用いて変換したもので、これによりパスワードの直接的な漏えいリスクを低減しています。
また、ランサムウェアとは、システムやデータを暗号化し、復号のために身代金を要求するマルウェア(悪意あるソフトウェア)の一種です。今回の事案ではランサムウェア被害がなかったことから、攻撃者の目的はデータの窃取や情報収集であった可能性が考えられます。
影響や重要性
大学関係者の個人情報が漏えいした可能性は、プライバシーの侵害やなりすまし、フィッシング詐欺などの二次被害につながるリスクがあります。特に、メールアドレスやユーザーIDが知られることで、攻撃者が標的型攻撃を仕掛けやすくなるため注意が必要です。
一方で、パスワードが暗号化されていたことやデータの持ち出しが確認されていない点は、被害拡大の防止に寄与しています。大学側の迅速な対応と情報公開は、被害者の不安軽減と今後のセキュリティ強化に向けた重要なステップです。
まとめ
広島工業大学のネットワークシステムに対する不正アクセスは、個人情報漏えいの可能性を示す深刻なインシデントです。暗号化されたパスワードの保護やランサムウェア被害の未発生は一定の安全策が機能していることを示しますが、情報漏えいのリスクは依然として存在します。大学は関係者への通知とともに、セキュリティ対策の強化と再発防止に向けて関係機関と連携し、信頼回復に努める必要があります。利用者側も不審なメールやアクセスに注意し、パスワードの定期的な変更や二段階認証の導入など自己防衛策を講じることが重要です。





