出典: Security NEXT – https://www.security-next.com/177539
Grafanaにクリティカルな脆弱性が発見 – なりすましや権限昇格のリスク
データ可視化ツールとして広く利用されている「Grafana」に、深刻なセキュリティ脆弱性が発見されました。特に2025年4月に導入されたSCIMプロビジョニング機能に起因するもので、なりすましや権限昇格の危険性が指摘されています。
主要なポイント
- 脆弱性「CVE-2025-41115」の概要:SCIM(System for Cross-domain Identity Management)プロビジョニング機能において、ユーザーIDの処理に不備があり、細工したアカウントによってIDを上書き可能。
- 影響範囲:特定条件下でのなりすましや権限昇格が可能となり、システムの不正操作や情報漏洩のリスクが高まる。
- 評価の深刻度:共通脆弱性評価システムCVSSv3.1で最高スコアの「10.0」を獲得し、クリティカル(最も高い)レベルに分類。
- 対応状況:Grafana開発チームは2025年11月19日に複数のバージョンで修正パッチをリリースし、最新の12.3.0バージョンは影響を受けない。
技術的な詳細や背景情報
SCIMは異なるドメイン間でのID管理を標準化するプロトコルで、ユーザーやグループの作成・更新を自動化するために利用されます。Grafanaは2025年4月にこの機能を導入しましたが、ユーザーIDの検証処理に不備があり、悪意のある攻撃者が細工したSCIMアカウントを使って既存ユーザーのIDを上書きできる状態でした。
この問題により、攻撃者は他のユーザーになりすましたり、本来持っていない権限を不正に取得したりすることが可能となります。こうした権限昇格は、システム管理者権限を奪取するケースも想定され、システム全体の安全性を著しく損ないます。
影響や重要性
Grafanaは企業や組織のデータ分析・監視に広く利用されており、脆弱性の悪用は機密情報の漏洩や不正操作につながる重大なリスクを孕んでいます。特にSCIMを利用している環境では、ID管理の信頼性が根幹から揺らぐため、早急な対応が求められます。
CVSSの最高スコア10.0は、攻撃の容易さと影響の大きさを示しており、放置すると大規模な被害を招く恐れがあります。したがって、利用者は速やかに提供された修正バージョンへアップデートすることが強く推奨されます。
まとめ
今回発見されたGrafanaのSCIMプロビジョニング機能に関する脆弱性は、なりすましや権限昇格を許す非常に深刻な問題です。CVSS評価で最高のクリティカルレベルに位置づけられており、影響を受けるバージョンを利用している場合は、速やかに修正済みバージョンへのアップデートが必要です。
システムの安全性を確保するために、常に最新のセキュリティ情報を追い、適切な対策を講じることが重要です。





