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ジャカルタ拠点のFirst Wap、SS7技術で隠密電話追跡システム構築

出典: Schneier on Security – https://www.schneier.com/blog/archives/2025/10/first-wap-a-surveillance-computer-youve-never-heard-of.html

原題: First Wap: A Surveillance Computer You’ve Never Heard Of

ジャカルタ拠点のファースト・ワップが構築したSS7活用の隠密電話追跡システム

インドネシア・ジャカルタを拠点とする監視機器メーカー「ファースト・ワップ」が、古典的な通信プロトコル「シグナリングシステム7(SS7)」を活用した高度な電話追跡システム「アルタマイズ(Altamides)」を開発しました。本記事では、その技術の特徴や背景、社会的影響について解説します。

主要なポイント

  • ファースト・ワップの監視ビジネス拡大:ヨーロッパ出身の経営陣がジャカルタの規制緩和を活用し、バチカンから中東、シリコンバレーまで広範囲に電話追跡システムを展開しています。
  • アルタマイズの特徴:リアルタイムで複数の容疑者の位置を秘密裏に特定し、移動パターンや近接状況を検知可能な統合プラットフォームです。
  • 痕跡を残さない追跡技術:ペガサスのようなスパイウェアと異なり、ターゲットの端末に異常な挙動や痕跡を残さず、遠隔監視の兆候も発生しません。
  • SS7プロトコルの悪用:電話キャリアの通信制御に使われるSS7を利用し、特定の電話番号に絞ってユーザーの最寄りセルタワー情報を取得し位置を追跡します。
  • 輸出管理法の回避:規制の緩いジャカルタを拠点にし、輸出規制を巧みに回避しながら監視機器を世界に輸出しています。

技術的な詳細や背景情報

シグナリングシステム7(SS7)は、電話網の制御信号をやり取りするための通信プロトコルであり、通話やSMSの接続を確立する際に不可欠な役割を果たしています。SS7にアクセスできる者は、加入者の位置情報を問い合わせることが可能で、これが位置追跡の根幹となっています。

ファースト・ワップの「アルタマイズ」は、このSS7の機能を利用して、ターゲットの電話番号に限定した位置情報をリアルタイムで取得します。従来のスパイウェアとは異なり、端末にマルウェアを仕込む必要がなく、ユーザーの端末に異常な動作や警告が現れないため、非常に隠密性が高いのが特徴です。

また、ジャカルタは輸出管理が比較的緩やかな地域であり、ファースト・ワップはこの環境を利用して監視技術を世界中に輸出しています。これにより、規制の厳しい国々での使用を回避しつつ、広範な監視ネットワークを構築しています。

影響や重要性

このようなSS7を悪用した追跡技術は、プライバシー侵害のリスクを大きく高めます。ユーザーは自分のスマートフォンがスパイウェアに感染していなくても、位置情報が秘密裏に収集される可能性があります。特に政治的活動家やジャーナリストなど、監視対象になりやすい人々にとっては深刻な脅威です。

さらに、輸出管理法の抜け穴を突く形で監視技術が世界中に広まることで、国際的な監視体制の透明性や規制の強化が求められています。技術の進歩とともに、法整備や監視技術の倫理的使用に関する議論が一層重要となっています。

まとめ

ファースト・ワップが開発した「アルタマイズ」は、SS7プロトコルを巧みに利用した高度な電話追跡システムであり、痕跡を残さずリアルタイムで位置情報を取得できる点が特徴です。ジャカルタの規制緩和を活用し、世界中に監視技術を輸出していることから、プライバシー保護や国際的な規制強化の必要性が改めて浮き彫りになっています。今後もこの分野の動向に注目し、適切な対策を講じることが求められます。

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