出典: Graham Cluley – https://grahamcluley.com/smashing-security-podcast-442/
原題: Smashing Security podcast #442: The hack that messed with time, and rogue ransom where negotiators
国家支援ハッカーが狙った「時刻同期」への攻撃とランサムウェア交渉人の裏切り
サイバーセキュリティの世界では、時間の正確さがシステムの信頼性を支える重要な要素です。今回紹介する「Smashing Security」ポッドキャスト第442回では、国家支援のハッカー集団が2年間にわたりある国のマスタークロック(基準時刻装置)への侵入を試みた事件と、ランサムウェア交渉人の裏切りにまつわる興味深い話題が取り上げられました。
主要なポイント
- 時刻同期システムへの攻撃の危険性:国家支援ハッカーがマスタークロックを標的にし、時間そのものを狂わせることで社会インフラに深刻な混乱を引き起こす可能性がある。
- ランサムウェア交渉人の裏切り:ランサムウェア被害者と交渉する専門家が、ダークサイドに堕ちて不正行為に加担するケースが報告されている。
- サイバー攻撃の多様化:モバイル機器のNFCリレー型マルウェアや個人情報漏洩事件など、攻撃手法が多様化し続けている。
- 国家間のサイバー攻撃非難合戦:中国と米国が互いにサイバー攻撃の責任を押し付け合う状況が続いている。
- 内部犯行の増加:ランサムウェア対応企業内で従業員による不正行為が発覚し、FBIが調査を進めている。
技術的な詳細や背景情報
「時刻同期」とは、コンピュータやネットワーク機器が正確な時刻を共有する仕組みで、金融取引や通信、電力網など多くの重要インフラで不可欠です。マスタークロックはこの時刻の基準を提供し、NTP(Network Time Protocol)などのプロトコルを通じて他の機器に時刻を配布します。
国家支援ハッカーがこのマスタークロックに侵入すると、時刻を意図的にずらすことでログの改ざんやトランザクションの混乱、さらにはシステム全体の信頼性を損なう攻撃が可能になります。こうした攻撃は検知が難しく、被害が広範囲に及ぶ恐れがあります。
また、ランサムウェア交渉人は被害者と攻撃者の間で身代金の交渉を行う専門家ですが、一部が攻撃者側に寝返り、情報を漏らしたり交渉を操作する事例も報告されています。これにより被害者の救済が困難になるだけでなく、サイバー犯罪の温床となるリスクも高まっています。
影響や重要性
時刻同期への攻撃は、単なるシステム障害にとどまらず、国家レベルの安全保障や経済活動に甚大な影響を及ぼす可能性があります。例えば、金融市場の取引時間がずれることで大規模な損失が発生したり、電力網の制御が混乱する恐れもあります。
さらに、ランサムウェア交渉人の裏切りは、被害者の信頼を損ねるだけでなく、サイバー攻撃の被害拡大を助長するため、業界全体での倫理的な監視と規制強化が求められています。
まとめ
今回のポッドキャストで取り上げられた「時刻同期」への国家支援ハッカーの攻撃と、ランサムウェア交渉人の裏切りは、サイバーセキュリティの新たな脅威を象徴しています。時間という見えにくい要素を狙った攻撃は、その影響の大きさから今後ますます注目されるでしょう。
私たちが日常的に依存するインフラの安全を守るためには、技術的な対策だけでなく、関係者の倫理観や国際的な協力も不可欠です。最新の脅威動向を把握し、適切な防御策を講じることが求められています。



