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米政府、TPリンク製ルーター販売禁止を検討-安全保障上の懸念から

出典: Krebs on Security – https://krebsonsecurity.com/2025/11/drilling-down-on-uncle-sams-proposed-tp-link-ban/

原題: Drilling Down on Uncle Sam’s Proposed TP-Link Ban

米政府、TP-Link製ルーターの販売禁止を検討-安全保障上の懸念を背景に

米国政府は、家庭用および小規模事業者向けに高い市場シェアを持つTP-Link製の無線ルーターなどの販売禁止を検討しています。背景には、中国政府との関係や安全保障上のリスクが指摘されており、業界全体に波紋を広げています。

主要なポイント

  • 販売禁止の背景:米商務省を含む複数の連邦機関が、TP-Link製品が米国の機密データを扱うことや中国政府の影響下にある可能性を理由に販売禁止を支持。
  • TP-Linkの反論:TP-Link Systemsは、中国のTP-Link Technologiesから独立しており、米国とシンガポールに拠点を置き、ベトナムで製造していると主張。安全保障リスクの指摘を否定。
  • 中国政府との関係とサイバー攻撃:議会関係者は、中国政府がTP-LinkなどのSOHOルーターを利用したサイバー攻撃を行っていると警告。実際に複数の中国国家支援ハッカー集団がTP-Linkルーターを悪用している報告もある。
  • 業界全体の課題:多くの競合他社も中国製部品を使用し、初期設定のまま使用するとセキュリティリスクが高い点は共通。ユーザー側での適切な設定変更やファームウェア更新が重要。
  • オープンソースファームウェアの活用:TP-Link製品の多くはOpenWrtなどのオープンソースファームウェアに対応しており、これを利用することでセキュリティ向上が期待できる。

技術的な詳細や背景情報

TP-Link製ルーターは価格競争力が高く、ISP(インターネットサービスプロバイダー)からの配布も多いため、米国内での普及率は非常に高いです。しかし、初期設定のまま使用すると、デフォルトのユーザー名・パスワードがそのまま残り、インターネット上のボットネットに狙われやすくなります。また、購入時点でファームウェアが古く、既知の脆弱性を含む場合も多いのが現状です。

中国の国家支援ハッカー集団「Camaro Dragon」などは、TP-Linkルーターに悪意あるファームウェアを植え付け、欧州の外交機関を標的にした攻撃を実施。Microsoftも2021年以降、複数の中国系ハッカー集団がTP-Linkルーターを乗っ取り、パスワードスプレー攻撃を行っていることを報告しています。

こうした状況を受け、近年は多くのルーター製造業者が初期設定時にパスワード変更やファームウェア更新を強制する仕組みを導入しています。さらに、OpenWrtやDD-WRTなどのオープンソースファームウェアは、より高度なセキュリティ設定や機能拡張を可能にし、製品寿命の延長にも寄与します。

影響や重要性

TP-Link製品の販売禁止検討は、単なる製品の安全性問題にとどまらず、米中間の技術・安全保障競争の一環として注目されています。多くのユーザーが低価格で高性能なTP-Link製品を利用しているため、禁止措置が実施されれば市場に大きな影響を及ぼすでしょう。

また、今回の問題は消費者がネットワーク機器のセキュリティ設定に対してより高い意識を持つ必要性を示しています。特に、初期設定のまま使用するリスクや、定期的なファームウェア更新の重要性が改めて浮き彫りになりました。

まとめ

米政府によるTP-Link製ルーターの販売禁止検討は、中国政府との関係や安全保障リスクを背景にした動きです。TP-Linkは独立を主張し安全性を否定していますが、複数の報告で中国系ハッカーによる悪用事例が明らかになっています。

消費者や企業は、ルーターの初期設定を見直し、ファームウェアを最新に保つことが重要です。さらに、OpenWrtなどのオープンソースファームウェアを活用することで、セキュリティ強化と機能拡張が期待できます。今後もネットワーク機器の安全性に対する意識を高めることが求められています。

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