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風力発電所技術者が無断で暗号通貨マイニング装置を設置し有罪判決

出典: Graham Cluley – https://www.bitdefender.com/en-us/blog/hotforsecurity/wind-farm-worker-sentenced-after-turning-turbines-into-a-secret-crypto-mine

原題: Wind farm worker sentenced after turning turbines into a secret crypto mine

風力発電所の技術者が無断で暗号通貨マイニング装置を設置し有罪判決

オランダの風力発電事業者に勤務する技術マネージャーが、会社の復旧作業中に無断で暗号通貨マイニング装置を設置し、有罪判決を受けました。本記事では、この事件の詳細とその背景、そして企業にとっての教訓について解説します。

主要なポイント

  • 無断設置された暗号通貨マイニング装置:技術マネージャーは2022年8月から11月にかけて、風力発電所の2か所にマイニングリグ3台とHeliumネットワークノード2台を秘密裏に設置しました。
  • ランサムウェア攻撃の最中の不正行為:ノルデックス社はContiギャングによるランサムウェア攻撃からの復旧を進めている最中に、この不正を発見しました。
  • 電力供給への潜在的影響を無視:裁判所の報告によると、当該従業員は数千世帯に電力を供給するタービンの運転に及ぼす影響に全く関心を示しませんでした。
  • 損害賠償と地域奉仕活動の判決:被告は4,155.65ユーロの損害賠償金支払いと120時間の地域奉仕活動を命じられました。
  • 内部からの脅威の重要性:技術スタッフの特権的アクセスを悪用した内部不正のリスクが改めて浮き彫りになりました。

技術的な詳細や背景情報

暗号通貨マイニングとは、ブロックチェーンネットワークの取引承認作業を行い、その報酬として暗号通貨を得る行為です。マイニングリグは高性能なコンピュータ機器で、電力消費が非常に大きいのが特徴です。

今回設置されたHeliumネットワークノードは、無線ゲートウェイとして機能し、IoT(モノのインターネット)デバイスの通信を支えるブロックチェーンノードでもあります。これらの機器は企業の内部ネットワークに接続され、電力と通信資源を無断で使用していました。

また、Contiギャングによるランサムウェア攻撃は、企業のシステムを暗号化し身代金を要求するサイバー犯罪であり、ノルデックス社はその復旧作業中であったため、セキュリティ体制が脆弱な状態でした。

影響や重要性

この事件は、再生可能エネルギー施設のインフラがサイバー犯罪や内部不正の標的となり得ることを示しています。特に、技術スタッフが持つ特権的アクセス権限は、悪用されると企業の資産やサービスに深刻な影響を及ぼします。

また、電力を大量に消費するマイニング行為は、公共の利益のために設置された設備の運用効率を低下させ、場合によっては電力供給の安定性を損なうリスクもあります。

過去にもロシアや中国で同様の不正マイニング事件が発生しており、世界的に内部からの脅威に対する対策強化が求められています。

まとめ

今回のオランダの風力発電所での暗号通貨マイニング不正事件は、企業の内部リスク管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に技術スタッフのアクセス権限管理や監視体制の強化が不可欠です。

再生可能エネルギーは社会全体の利益のために活用されるべきものであり、その資源を不正に利用して収益化する行為は許されません。企業は内部からの脅威を軽視せず、包括的なセキュリティ対策を講じる必要があります。

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